手術器械の説明

- Explanation of Surgical Instruments -

Helios Pin Sleeve System

ずっと作りたかったひまわり法のための究極のシステムが完成しました。ヘリオスとはギリシャ神話の太陽神であり、膝蓋骨は膝伸展機構の中心的な役割を担うので「太陽」の名を冠したHeliosとしました。これまでの260例を超えるひまわり法の経験や叡智をすべて集約。

~ HELIOS Series ~

A. ー Helios Pin Sleeve System

Pin sleeveは把持部分と先端のpin部分とスリーブに分かれます。スリーブには2本のケーブルが通る穴がついており、スリーブを押しつぶすことでケーブルとピンが固定されます。ピンスリーブを刺入したあとに把持部分を折り取ることができます。スリーブの周囲にはねじ切りがついており、把持部分が折れてもスリーブを把持して再度ピンを刺入することができます。

ピン2本でワイヤーにcompressionをかけるtension band wiringに用いるには、屈曲したときにピンには大きな応力がかかるため、直径2.0mmが適しています。しかし、平均5本くらい刺入するひまわり法では、ピンにそこまでの強度は求められず、逆に術中にピンどうしが干渉にくいことが求められます。また小さい骨片を固定することもあります。そこで2.0mmと同じ強度を担保したまま、直径1.8mmのステンレスのピンの製作に成功しました。

Pinの先端形状:

膝蓋骨の表面は滑りやすく、ひまわり法ではピンを表面に対してかなり斜めに刺入することもあります。そこで、ピンの先端をK-wireの先端のようなダイヤモンドカットではなく、山形にカットすることで刺入時の滑りを防ぎました。

ひまわり法では周辺締結の後に前方締結が必要になります。ケーブルをピンスリーブに通すときにケーブルがまがったりよじれたりするので、術者にはストレスになります。ケーブルは複雑かつ鋭角に曲げられることが要求されます。そこでcableの直径を1.2mm から1.0mmにしても、よりしなやかで強度を上げたケーブルを作ることに成功しました。さらに先端を4.0cmの針状にすることでスリーブに通しやすくなります。

~ EZ Series ~

0. ー EZ Reducer (optional)

膝蓋骨の整復、保持をより簡便にする。

膝蓋骨骨折の骨片を整復するときには、骨片が回旋してしまいます。それを制動して保持するため膝蓋骨鉗子は先端が2fingerになっています。さらに、整復に最適なところを骨鉗子で把持しようとすると、そこからピンを入れるには鉗子がじゃまになる「骨鉗子あるある」を回避するものです。

ただその鉗子は容易に倒れてしまうので操作中は手で保持する必要があり、ピンを刺入するときに整復位がくずれてしまうこともあります。そこで把持鉗子の柄の部分に穴を開けてそこからK-wireを刺入して仮固定できる機構を追加しました。それによって骨把持で整復した骨片を保持してピンを刺入することが容易になりました。作業中にずれるリスクも減りました。よりeasyに整復固定ができるツールになります。

直接、把持部分をパワーツールで把持すると折損するリスクが高いのですが、ワンタッチでスリーブを脱着できて折損を防ぐアダプターを用意しました。ピンの位置の微調整を必要とするひまわり法では簡便に脱着する機構が便利です。

02 ー EZ Tensioner

ひまわり法ではピンスリーブを膝蓋骨の周辺から中心に向かって全周性に配置するので、最終的にひまわりの花が咲いた形状になります。そこで、ケーブルを円周状に通して固定した後に、EZ tensionerでケーブルに張力をかけていきます。ケーブル把持部分をワンアクションでロック、リリースできる機構を設けたのでワンハンドで操作ができます。手のひらでホールドすると手に馴染みやすい形状になっています。EZ tensionerをCubex medical のカラーである緑にしたので、すくっと佇むひまわりがイメージできると思われます。

周辺締結が終われば、骨片をさらに安定化させるために前方締結を追加します。粉砕した骨片にくまなく幾重にも折り返したケーブルを配置することで強固な固定を実現します。ケーブルが短くなっても、短い距離で把持できる機構がtensionerには必要とされ、それによって余すことなくケーブルを利用できます。ケーブルを「巻き上げる=wind」操作のため今回開発したEZ winderとしました。EX winderの先端部分は弾性をもたせて、taper形状になっているので、操作性もよくEZ crimperで圧着するときに干渉しない設計になっています。

04 ー EZ Crimper

ケーブルをスリーブに通した後、スリーブを上下に押し潰してピンとケーブルを圧着するのですが、ピンの把持部分をガイドにしてeasyに圧着(Crimp)することができます。さらに、そのままピンを折り取る機構も備えています。あやまって上下方向にピンを折り取るとケーブルが緩んでしまうのですが、左右方向にしか折り取ることができない機構になっています。

まず一方のヘラ形状の目盛りで最適なピンの長さを測定します。もう一方のパッサーは膝蓋支帯下にケーブルを誘導する際に使用します。ヘラ形状の先端はエレバトリウムとしての役割も有し、軟部組織を抑え込んだりしながらHeliosピンを刺入することなどにも使用できます。

06 ー EZ Twister

ケーブルをスリーブに通す時にスリーブを回してケーブルを通しやすくしたり、ケーブルを通した後にスリーブを膝蓋骨表面まで打ち込んだり、圧着が終わった後にピンの把持部を折り取ったりする機構があります。スリーブを取り扱いやすくする機能を持っています。

最後にケーブルをカットするのですが、ニッパータイプのものでは素線をシャープに切ることが難しく、断面に素線のほつれが見られたり、一部分が切れずに残ったりします。そこでケーブルを穴に通して裁断する機構にすることで確実にシャープに切ることを可能にしました。ニッパータイプでは誤って、他のケーブルも一緒に切ってしまうこともありますが、この機構ではそれも起こりません。

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手術器械ヘリオスに関するお問い合わせはキューベックスメディカル株式会社まで